【解決策付き】社内コミュニケーション不足が起きる4つの原因と成功事例

近年、テレワークの普及や働き方の多様化により、従来の対面中心のコミュニケーションスタイルが大きく変化しています。しかし、多くの企業では「社内コミュニケーション不足による業務効率の低下や、従業員のモチベーション低減」が深刻な課題となっています。
そこで本記事では、社内コミュニケーション不足が発生する根本的な原因を分析し、現場で実際に効果を上げている解決策について解説します。
職場で社内コミュニケーションが不足する主な原因4選
職場におけるコミュニケーション不足は、業務内容や人間関係だけでなく、人事評価や待遇など、さまざまな要因が絡み合って生まれることもあります。つまり、表面的な症状に対処するだけでは根本的な改善は困難です。
その中でも、特にコミュニケーション不足の原因となっているものを4つここではご紹介します。
原因①部門間・上下間での情報共有不足
一番多い原因は、部署同士や上司と部下の間で情報がうまく伝わらないことです。営業部が得た重要なお客様の声が開発部に届かない、経営陣の決定が現場まで正しく伝わらない、といったことが日常的に起きています。
たとえば、営業担当者がお客様から「こんな機能があったらいいな」という要望を聞いても、それが商品開発チームまで伝わらずに終わってしまうケースがあります。また、社長が新しい方針を発表しても、中間管理職が部下にうまく説明できず、現場では「何のための変更なのかわからない」という混乱が生じることも珍しくありません。
原因②テレワークやハイブリッド勤務による接点の減少
2つ目は「テレワークやハイブリッド勤務で接点が減少している」です。コロナ禍をきっかけにテレワークが当たり前になりましたが、これによって同僚との自然な会話の機会が激減しました。オフィスでの「おはよう」の挨拶や、お昼休みの何気ない雑談、廊下でばったり会ったときの立ち話など、これまで当たり前だった交流がなくなっています。
実際にテレワークやハイブリッド勤務によって、会議やメールでの連絡以外、同僚と話す機会が減りました。「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」という軽い相談も、わざわざメールを送ったり会議を設定したりしなければならず、気軽にできなくなっています。
原因③帰属意識や心理的安全性の欠如
3つ目は「帰属意識や心理的安全性が欠如している」です。「この会社で働いていて良かった」「チームの一員として大切にされている」と感じられない職場では、積極的にコミュニケーションを取ろうという気持ちが生まれません。逆に、「どうせ意見を言っても聞いてもらえない」「失敗したら怒られる」と思っている人は、必要最低限のことしか話さなくなります。
例えば、会議で新しいアイデアを提案したのに「そんなことより今の業務を頑張れ」と一蹴されたり、ミスをしたときに「なんでこんなこともできないんだ」と人前で叱られたりした経験があると、次第に発言することが怖くなってしまいます。やりがいを感じられない環境では、周囲との協力や情報共有にも消極的になってしまうでしょう。
原因④コミュニケーション手段やツールが不適合
4つ目は「帰属意識や心理的安全性が欠如している」です。現在使用しているコミュニケーションツールが組織の実情や業務の特性に適合していない場合、効率的に情報共有できない局面がでてきます。
例えば、リアルタイムでの迅速な情報交換が必要な業務において、メールのみに依存している組織では、レスポンス速度が遅いと業務効率がかなり悪くなります。反対に、慎重な検討が必要な重要な決定事項について、チャットツールでの軽い会話だけで済ませてしまうと、認識の齟齬や決定事項の記録不備が発生する可能性があります。
貴社はやっていない?社員がストレスを感じる6つの社内コミュニケーション不足例
では、原因が分かったところで、実際に働いている社員たちがどんな風にストレスを感じているのでしょうか?アンケートや面談で聞こえてきた生の声を紹介します。
①業務指示の仕方が曖昧で動きづらい
「適当にやっておいて」「いい感じに仕上げて」「早めにお願いします」といった曖昧な指示に困っている人は非常に多くいます。何をどこまでやればいいのか、いつまでに完成させればいいのか、どんな仕上がりを期待されているのかが分からないと、安心して仕事に取り組めません。
特に入社したばかりの人や、初めて担当する業務では、明確な指示がないと何から手をつけていいか分からずパニックになってしまいます。「失敗したらどうしよう」「期待に応えられなかったらどうしよう」という不安で、本来の実力を発揮できなくなることも。結果として、何度も確認や修正を繰り返すことになり、お互いの時間を無駄にしてしまうわけです。
②感謝を伝え合う文化がない(やってもらって当たり前)
2つ目は「感謝を伝え合う文化がない」です。残業して資料を作ってもらっても「お疲れ様」の一言もない、急な依頼に対応してもらっても「ありがとう」と言われない。そんな職場環境だと、だんだん協力する気持ちは失われていきます。
「頑張りが認められている」「チームの役に立っている」と実感できる職場では、困ったときに自然と助け合える雰囲気が生まれます。逆に、何をやっても当たり前として扱われる環境では、「最低限のことだけやっていればいい」という消極的な姿勢が蔓延してしまうでしょう。
③指示したことをすぐに忘れたり頻繁に変わる
3目は「指示したことをすぐに忘れたり頻繁に変わる」です。「先週言ってたこと、覚えてますか?」と確認すると、「そんなこと言ったっけ?」と返される。せっかく準備した資料が「やっぱりいらない」と言われる。そんな経験が重なると、仕事へのやる気が大きく削がれてしまいます。
もちろん、ビジネス環境の変化で方針転換が必要になることはあります。しかし、その理由や背景をきちんと説明せず、一方的に変更を通知するだけでは、部下の信頼を失ってしまいます。「どうせまた変わるんでしょ」という諦めの気持ちが広がると、組織全体の活力が低下してしまうでしょう。
④相手の状況に対する配慮がない
4つ目は「相手の状況に対する配慮がない」です。既に手いっぱいの状況なのに追加の仕事を頼まれる、経験がない分野なのに「できて当然」という態度を取られる。相手の状況を考えない一方的な要求は、大きなストレスの原因になります。
たとえば、新人に対してベテランと同じレベルの成果を期待したり、専門外の分野で即座の判断を求めたりするケースも見られます。個人の能力や状況を無視した無理な要求は、プレッシャーを与えるだけでなく、「この会社では自分は大切にされていない」という気持ちを生み出してしまいます。
⑤仕事の成果を正しく評価してくれていない
5つ目は「仕事の成果を正しく評価してくれていない」です。頑張って結果を出しても認めてもらえない、他の人の手柄にされてしまう、何を基準に評価されているのか分からない。こうした状況が続くと、正当な評価を受けられない環境で「真面目にやるのがバカらしい」という気持ちになりがちです。
また、評価基準が不透明だと、何に力を入れればいいのか分からず、方向性を見失ってしまいます。個々の業務を適切に評価してフィードバックすることで、「あなたの仕事はしっかりと見ているよ」と伝わることが重要です。
⑥個人のキャリア目標に寄り添ってくれない
6つ目は「個人のキャリア目標に寄り添ってくれない」です。「将来はこんな仕事がしたい」「こんなスキルを身につけたい」という個人の希望を聞いてもらえない、相談しても「今の仕事を頑張れ」と言われるだけ。そんな環境では、長期的に働き続けるモチベーションを保つのが困難です。
現代の働き手は、単に給料をもらうだけでなく、自分の成長や将来への投資として仕事を捉える傾向があります。個人のキャリア目標をしっかりと理解したうえで、会社のビジョン達成に向けてどんな役割を持ってもらいたいか考えることが、お互いにメリットのある長期的な関係へつながるでしょう。
【すぐに実践】社内コミュニケーション不足を改善する解決策4選
問題の原因と現場の声が分かったところで、実際にどうすれば改善できるのでしょうか。ここからは、多くの会社で効果を上げている具体的な解決策を4つご紹介します。
解決策①アンケート調査を実施する
まずは「今、本当はどんな問題があるのか」を正確に把握しましょう。推測や思い込みではなく、実際のデータに基づいて改善策を考えることが成功の鍵です。アンケート調査は、従業員の本音を聞き出すための最も効果的な方法といえます。
重要なのは、アンケートを取って終わりにしないことです。結果を分析して具体的な改善計画を立て、従業員にも「こんな問題が分かったので、こう改善します」と報告することで、調査への協力意欲も高まります。
解決策②社内イベントを開催する
普段話す機会のない人同士が自然に交流できる場を作ることも、コミュニケーションの活性化が期待できます。「飲み会は苦手」という人も参加しやすいよう、様々な形式のイベントを企画してみましょう。
例えば、ランチタイムを活用した「部署横断ランチ会」、業務に関連した「勉強会・セミナー」、気軽に参加できる「コーヒーブレイク交流会」などがあります。テレワーカーも参加できるよう、オンラインやハイブリッド形式で開催することも大切です。
解決策③感謝の意が伝わるコミュニケーション文化をつくる
また、「ありがとう」「お疲れ様」「助かりました」といった感謝の言葉が自然に飛び交う職場を目指しましょう。感謝を表現する文化が根付くと、お互いを思いやる気持ちが生まれ、協力的な雰囲気が作られます。
たとえば、最近の社内ポータルサイトツールでは、オンライン上でも感謝の意を伝える機能としてサンクスポイントや、サンクスギフトなどがあります。追加でメンバーに仕事を手伝ってもらったり、無理なお願いにも快く承諾してくれたりしたときに、活用されています。こうした、オンラインでも感謝を伝えるツールを活用することも有効です。
解決策④コミュニケーションツールを見直す
今使っているツールが本当に職場に合っているかも、定期的にチェックしてみましょう。働き方の変化に合わせて、より使いやすく効率的なツールに更新することで、コミュニケーションの質が大幅に改善される可能性があります。
ツールを選ぶときは、操作の簡単さ、情報の探しやすさ、セキュリティの安全性、他のシステムとの連携などを総合的に判断することが重要です。新しいツールを導入するときは、十分な研修期間を設け、分からないことがあったときのサポート体制を整えておきましょう。いきなり全社で切り替えるのではなく、一部の部署から試験的に始めて、問題点を解決してから本格導入することをお勧めします。
社内コミュニケーション不足を解消した成功事例10選
「理論は分かったけど、実際にうまくいった例を知りたい」という方も多いでしょう。そこで、詳しい成功事例として、「社内コミュニケーションの活性化事例10選!おすすめツールとともに一挙紹介」で、業界や会社の規模、抱えていた課題別に整理して紹介しています。
成功事例を見るときは、表面的な施策だけでなく、「なぜその方法を選んだのか」「実施する際にどんな工夫をしたのか」「効果をどうやって測ったのか」といった背景も含めて理解するといいでしょう。
テレワーク環境でも社内コミュニケーションを活性化させる実践方法3選
在宅勤務が増えた今、「オフィスにいた頃のようなコミュニケーションはもう無理なのか」と諦めている方もいるかもしれません。確かに対面での自然な会話は減りましたが、工夫次第でテレワークでも活発なコミュニケーションは可能です。
テレワーク環境での効果的なコミュニケーション方法については、「テレワーク時代の社内コミュニケーション活性化術|予算0円から始められる実践方法3選」で詳しく解説しています。予算をかけずに今すぐ始められる方法から、本格的なシステム導入まで、段階的なアプローチが紹介されているので、どんな会社でも取り組みやすい内容になっています。
根本的な問題点を特定し、社内コミュニケーション不足を解消しましょう
社内コミュニケーションの問題は、一つの方法ですぐに解決できるものではありません。職場の構造や文化、使っているツール、働く人の意識など、いろいろな要素が絡み合っているからです。だからこそ、表面的な対策ではなく、根本的な原因を見つけて改善することが大切になります。
まずは、あなたの会社で一番深刻になっている問題を見極めましょう。部署間の情報共有ができていないのか、テレワークで連絡が取りにくくなったのか、職場の雰囲気が悪いのか、使っているツールが使いにくいのか。原因がはっきりすれば、効果的な解決策も見えてきます。定期的に効果を確認し、うまくいかない部分は見直しながら、継続的に改善していきましょう。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。