社内コミュニケーションツール7選|最適なツールの選び方と活用事例
従来の対面やメール中心のやり取りから、チャットツールやビジネスSNSを活用した即時性の高いコミュニケーションへとシフトする企業が近年増えています。
しかし、数多くのツールが存在する中で、自社の組織文化や業務特性に適したツールを選定することは簡単ではありません。導入したものの定着せず、かえって情報が分散してしまったという失敗事例も少なくないでしょう。
そこで本記事では、国内外で広く利用されている主要な社内コミュニケーションツール7選を詳しく紹介し、実際の導入事例や選定時のポイントについて解説します。自社に最適なツールを見つけるための参考としてご活用ください。
社内コミュニケーションツール7選と特徴
社内コミュニケーションを活性化させるには、組織の規模や業種、働き方に適したツール選びが欠かせません。ここでは、国内で多くの企業に採用されている社内コミュニケーションツールを7種類に絞り、それぞれの特徴や強み、料金体系を詳しく紹介していきます。
ツール①Slack|豊富な外部連携とチャンネル管理機能
Slackは、世界中で4,500万人以上のユーザーを抱える代表的なコミュニケーションプラットフォームです。プロジェクトやチームごとに「チャンネル」を作成し、その中で会話を整理できる点が特徴で、複数のプロジェクトが同時進行する環境でも情報が混在せず、必要な情報をカンタンに見つけ出すことができます。
料金面では、無料プランでも90日間の過去メッセージ閲覧が可能で、小規模チームでの試験導入にも適しています。有料のProプランは1ユーザーあたり月額1,000円前後から利用でき、メッセージ履歴の無制限保存やゲストアカウントの発行など、ビジネスに必要な機能が揃っています。IT企業やスタートアップを中心に、数名から数千名規模まで幅広い企業で採用され、社内外との効率的なコミュニケーション基盤として定着しているツールといえるでしょう。
ツール②Chatwork|中小企業で圧倒的導入実績、シンプル操作
Chatworkは、国内利用者数で5年連続No.1を獲得しており、その背景には日本のビジネス文化に即した使いやすさがあるといえます。PCやスマートフォンの操作に不慣れな従業員でも直感的に使える、シンプルで分かりやすいインターフェースが特徴で、複雑な設定や操作を必要とせず、導入初日でもすぐに利用できる設計になっています。
無料版でも最大14ユーザーまで利用可能で、ビデオ通話やファイル共有など十分な機能を備えています。有料のビジネスプランは1ユーザーあたり月額700円からと、中小企業にとって導入しやすい価格帯に設定されているのも魅力です。ITリテラシーにばらつきのある組織でも安心して導入できるツールといえます。
ツール③Microsoft Teams|Office連携に優れた統合プラットフォーム
Microsoft Teamsは、チャット・オンライン会議・ファイル共有・共同編集を一つのアプリケーション内で完結できる統合型コミュニケーションプラットフォームです。WordやExcel、PowerPoint、OutlookといったMicrosoft Office製品とシームレスに連携できる点が特徴的で、Teams上で共有されたExcelファイルを複数のメンバーが同時に編集したり、会議中にPowerPointを画面共有しながらリアルタイムで修正を加えたりすることができます。
料金面では、Microsoft 365を利用している企業であれば追加コストなく使い始められる点が大きな魅力です。無料版でも基本的なチャットや会議機能を備えており、有料版はMicrosoft 365の各プラン(Business BasicからE5まで)に含まれる形で提供されます。数名の小規模チームから数万人規模の大企業、さらには自治体まで幅広い組織で導入実績があり、特に既存の社内システムがMicrosoft製品中心の企業にとっては、最有力の選択肢ではないでしょうか。
ツール④LINE WORKS|LINEの使いやすさ×企業向け機能
LINE WORKSは、プライベートでも広く普及しているLINEと同じ操作感を保ちながら、企業向けの豊富な機能を備えたビジネスコミュニケーションツールです。普段使い慣れたインターフェースで利用できるため、新しいツールに対する抵抗感が少なく、導入後の定着率が高いという特徴があります。特にスマートフォンでの操作性に優れており、現場作業が多い業種や外出先からの利用が多い営業職などに適しているでしょう。
料金は初期費用無料で、1ユーザー月額300円からのライトプランが用意されており、小規模事業者でも導入しやすい価格設定です。30日間の無料トライアルも提供されているため、実際の業務で試してから本格導入を判断できます。製造業、建設業、小売業、飲食業など、ITに詳しくない現場スタッフが多い業種でも、LINEの操作感を活かしてスムーズにコミュニケーションを活性化できるツールといえるでしょう。
ツール⑤WowTalk|現場向け機能も備えた国産チャット、LINEライクな操作感
WowTalkは、現場のスタッフでも使いやすい設計と、企業が求める管理機能を両立させたツールです。基本となるトーク機能に加えて、社内掲示板、アンケート機能、日報提出、安否確認など、社内向けの情報共有機能がひと通り揃っています。特に製造業や建設業、医療・福祉といった現場作業を伴う業種において、本部と現場の間でよく使われるコミュニケーションツールとして高く評価されています。
対応規模も幅広く、ユーザー数10名程度の小規模から1,000名以上の大規模組織まで柔軟に対応可能です。料金プランは1ユーザー月額360円からの基本機能プランが用意され、大企業向けにはカスタマイズにも対応しています。
ツール⑥ChatCo!|コスト重視の中小企業に嬉しい低価格チャット
ChatCo!は、圧倒的な低価格を実現した中小企業向けビジネスチャットツールです。1ユーザーあたり月額54.7円から利用できるという他のツールと比較しても群を抜いて安い価格帯なので、コストパフォーマンスを最重視する企業にとってコスパが高いので、初めてビジネスチャットを導入する企業や、限られた予算内でコミュニケーション環境を整備したい小規模事業者に適しているでしょう。
また、関連製品であるOfficeMessengerでは、50ユーザーまで月額5,000円という明確な料金体系が用意されており、人数が増えても予算管理がしやすい点も評価されています。国内サーバーで運用されているため、データの保管場所に関する安心感もあります。ChatCo!のように、必要な機能に絞り込んだシンプルなツールを安価に導入することで、まずは社内チャット文化を根付かせるというときに活用できるでしょう。
ツール⑦onemind|社内情報を簡単に共有できる社内ポータルサイト
onemindは、社内のあらゆる情報を一元管理しながら簡単に供給できる、クラウド型の社内ポータルサービスです。社内報だけでなく、企業理念や行動指針、各種ガイドラインを一元管理し、全社員に共有できる基盤として活用できるのが特徴です。チャットツールが「点」のコミュニケーションを効率化するのに対し、onemindは企業文化の浸透やナレッジの蓄積といった「面」の情報共有ができるツールといえるでしょう。
onemindの最大の強みは、日々の情報共有を通して組織づくりの活動を一貫してサポートできる点にあります。チャットツールだけでは対応しきれない、企業理念の浸透、社内マニュアルの共有、サンクスポイントで従業員間の感謝の意を伝えるといった「社員が会社のビジョンに共感し、この会社でずっと働きたいと思える組織づくり」を実現することができます。
【事例5選】社内コミュニケーションツールの活用事例
社内コミュニケーションツールをいくつかご紹介してきたところで、ここでは、異なる業種・規模の企業がツールを活用して成果を上げた事例を5つご紹介していきます。
事例①石屋製菓|Slack導入で拠点間の情報格差を解消
北海道の菓子メーカーである石屋製菓は、「白い恋人」をはじめとする人気商品で知られる企業です。事業拡大に伴い拠点数と社員数が増加する中で、本社と各拠点、さらには拠点間での情報伝達に格差が生じるという課題に直面していました。
そこで石屋製菓はSlackを全社導入し、プロジェクトや部署ごとにチャンネルを設け、基本的にオープンな運用方針を採用することに。これにより、「あの情報は誰が持っているのか」を探す時間が大幅に削減され、必要な情報を素早く見つけ出せるようになりました。また、Slackのワークフロー機能を活用した業務自動化により、ある業務の作業時間を従来の10分の1に削減することにも成功しています。
※参考情報:Slack「Slack 導入事例集 2023」
事例②ファイアーキッズ|Chatworkで情報を一元化しDX推進、売上12倍に
横浜で高級ヴィンテージ時計を扱う株式会社ファイアーキッズは、事業承継を機に社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する必要に迫られていました。口頭、メール、個人のLINEと連絡手段が分散しており、情報の抜け漏れや確認遅れが頻繁に発生していたそうです。
そこで、ファイアーキッズはChatworkを導入し、すべてのコミュニケーションをChatwork上に統一する方針を打ち出しました。結果として、社内の全情報が可視化され、誰もが必要な情報にアクセスできる環境が実現し、情報の抜け漏れが無くなったことで、顧客対応のスピードと質が飛躍的に向上しました。また、部署を越えた情報共有が活発化したことで、営業、仕入れ、配送といった各工程の連携がスムーズになり、組織全体の業務効率が大幅に改善されたといいます。
その結果、導入から約1年半で売上が12倍にまで成長するという驚異的な成果を達成。デジタルツールへの抵抗感が社内全体で減少し、他のITツール導入にも前向きになるなど、組織文化そのものが変化したといいます。
※参考情報:Chatwork「ChatworkをきっかけにDXを推進 約1年半で売上が12倍に成長し組織文化も醸成」
事例③モリチュウ|チャット活用でメールの課題を解決、案件数が5倍以上に
製造業を営む株式会社モリチュウでは、従来メール中心で行っていた社内外の情報共有に限界を感じていました。メールでは宛先のCC漏れが発生しやすく、重要な情報が関係者全員に届かないケースが頻発していたのです。また、メールの確認遅れにより意思決定のスピードが遅くなり、顧客からの問い合わせに迅速に対応できない場面も増えていました。
そこで同社はチャットツールを導入し、社内コミュニケーションの主軸をメールからチャットへと切り替えることに。チャットではグループ内の全員が自動的に情報を共有できるため、CC漏れの心配がなくなりました。さらに、既読機能により相手が情報を確認したかどうかをリアルタイムで把握できるようになり、確認待ちの時間も大幅に削減されたようです。
この結果、社内の意思決定スピードが飛躍的に向上し、対応できる案件数が導入前の5倍以上に増加したといいます。同じ人員体制のまま、処理能力を5倍にできたことは驚異的な成果です。
※参考情報:Chatwork「情報共有の効率化で案件数が5倍以上に!メールの課題をチャットで解決」
事例④コロプラ|Workplaceでプロジェクト情報をオープン化し知見共有
スマートフォンゲーム開発を手がける株式会社コロプラでは、複数のゲームタイトルが同時進行する環境において、プロジェクト間での知見共有が課題となっていました。各開発チームが独立して作業する中で、他のチームがどのような問題に直面し、どう解決したのかといった情報が共有されず、同じような問題を何度も繰り返し解決する非効率が生じていたといいます。
そこで、コロプラは社内SNSとしてWorkplaceを導入することに。開発タイトルごとにWorkplace上にグループを作成し、基本的に社内全員が閲覧・参加できるオープンな設定にすることで、部署や役職の垣根を越えて情報共有できるようになりました。プロジェクトAで発生した技術的な課題とその解決策が、プロジェクトBのメンバーにもリアルタイムで共有されるようになり、組織全体の開発ナレッジも蓄積されていったそうです。
※参考情報:ケータイWatch「社内のコミュニケーションがFacebookのようにつながる「Workplace」」
事例⑤愛ファーマシー|WowTalkを26店舗に導入し現場間の連携を強化
愛媛県で調剤薬局チェーンを展開する愛ファーマシー株式会社は、県内26店舗を運営する中で、本部と各店舗、さらには店舗同士のコミュニケーション円滑化が経営課題となっていました。従来は電話やFAXで連絡を取り合っていましたが、営業時間中は接客対応で電話に出られないケースも多く、情報伝達に時間がかかっていたといいます。
そこで、愛ファーマシーは社内SNSとしてWowTalkを全店舗に導入することに。選定の決め手となったのは、LINEに似た操作感で、ITに詳しくない薬剤師や事務スタッフでも直感的に使いこなせる点だと話しています。導入後は、在庫の問い合わせや処方箋の確認、緊急時の対応方法など、これまで電話やFAXで行っていた連絡のほとんどがWowTalk上で完結するようになり、店舗間の情報伝達スピードが飛躍的に向上したそうです。
※参考情報:WowTalk「愛媛県内26店舗を展開する薬局のコミュニケーションツールとしてWowTalkを導入!」
どう選べばいい?自社に合う社内コミュニケーションツールの選び方
先ほどご紹介したツールや事例を見て、「どれも良さそうだが、結局自社にはどれが適しているのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。そこでここでは、自社に最適な社内コミュニケーションツールを見極めるための4つの選定基準について、具体的に解説していきます。
選び方①目的達成に必要な機能がそろっているか?
ツール選定において最も重要なのは、「何のためにツールを導入するのか」という目的を明確にし、その目的達成に必要な機能を備えたサービスかを確認することです。なぜなら、目的が曖昧なままツールを選ぶと、導入後に「思っていた使い方ができない」という事態に陥りやすくなるからです。
たとえば、部署間の迅速なやり取りを実現したいのであれば、リアルタイムチャット機能とプッシュ通知機能は必須となります。一方、ナレッジの蓄積と共有を重視するなら、スレッド型の掲示板機能や強力な検索機能を備えたツールが適しているでしょう。
また、多機能なツールは一見魅力的に映りますが、実際には使わない機能が多ければ、かえってコストの無駄になってしまいます。機能が多すぎると操作が複雑になり、結果的に社員が使いこなせず定着しないという失敗パターンも少なくありません。そのため、自社の課題を解決するために本当に必要な機能に絞って、それが過不足なく揃ったツールを選ぶことが重要です。
選び方②既存ツールとの連携性はあるか?
次に重要な選定基準は、現在社内で使っている他のツールとの連携性です。カレンダー、オンライン会議システム、ファイルストレージ、業務管理システムなど、既存のツールとスムーズに連携できれば、コミュニケーションツール上で作業が完結し、業務効率が一段と向上します。
たとえば、社内でGoogle Workspaceを使っているなら、Googleカレンダーやドライブと連携しやすいツールを選ぶことで、チャット上からカレンダーを確認したり、ドライブのファイルを直接共有したりできるようになります。反対に、Microsoft製品を中心に使っている組織であれば、Microsoft Teamsのように、WordやExcelをシームレスに扱うことができます。既存の業務フローを崩さず、むしろ強化する形で導入できるかの視点で考えるといいでしょう。
選び方③利用用途や働き方にあわせてカスタマイズできるか?
自社の業種や働き方にマッチした柔軟性も、ツール選定における重要な要素です。現場作業が多い会社であれば、スマートフォンアプリの使いやすさやプッシュ通知機能が業務の生命線となります。一方、テレワーク中心の組織なら、オンライン会議機能や在席ステータス表示、画面共有機能の充実度が重要になってくるでしょう。
ツールによっては、チャンネルやグループの設定を細かくカスタマイズできたり、自社専用のスタンプやチャットボットを追加できるものもあるため、こうした柔軟性があれば、自社の組織文化や業務フローに合わせてツールを最適化でき、社員の定着率も高まりやすくなります。逆に、画一的なツールだと「自社の文化に合わない」「使いにくい」と感じられ、せっかく導入しても使われなくなってしまう恐れがあります。
選び方④導入コストやサポート体制は適切か?
最後に、コスト面とサポート体制も重要な選定基準です。特に中小企業では予算確保が難しいため、月額料金や初期費用が適切な範囲に収まるかをしっかり確認する必要があります。多くのツールはユーザー数に応じた課金体系を採用しているため、将来的な組織の成長や人員増加も見据えた費用試算が重要でしょう。
また、無料プランやトライアル期間を提供しているサービスも多いので、まずは少人数で試験的に使ってみて、自社に合うかどうかを確認してから本格導入するという段階的なアプローチも有効です。
加えて、導入後のサポート体制も重要なポイントとなります。日本語での問い合わせ窓口があるか、マニュアルやヘルプページが充実しているか、導入時の設定支援や社員向けトレーニングを提供してくれるかなどを確認しましょう。特に、社内にITに詳しい人材が少ない場合、ベンダーのサポートが手厚いツールを選ぶことで、導入後のトラブルにも安心して対応できます。
onemindで社内情報を一元管理しカンタンな情報共有を
以上、社内コミュニケーションツールと事例についてご紹介してきましたが、実際に現場では経営者と従業員の間で認識のズレが生じてしまう悩みを抱える企業は少なくありません。「確かに伝えたはずなのに」「そんな話は聞いていない」といった「言った言わない」の問題は、組織の規模に関わらず多くの企業で発生していると考えられます。この認識齟齬が積み重なってしまうと、従業員は「経営層は現場のことを理解していない」「方針がコロコロ変わる」と感じるようになり、結果として従業員の帰属意識や従業員満足度の低下につながってしまうわけです。
こうした課題を解決するツールの1つに、社内のあらゆる情報をストックし一元管理できる社内ポータルサイトの活用が挙げられます。例えば、onemindは企業理念、社内情報の一斉配信、業務マニュアル、各種ガイドラインなど、組織として共有すべき情報を集約して全社員に届けられる機能として提供しているクラウド型の社内ポータルサイトです。チャットのように情報が流れていくのではなく、重要な情報を「いつでも、誰でも、確実に」確認できる形で保管できるので、認識のズレといった課題を解決できるでしょう。
認識齟齬がなくなれば、従業員は会社の方向性を常に正しく理解できる状態になるので、結果として組織への帰属意識が高まり、従業員満足度が向上していくでしょう。社内コミュニケーションの課題を根本から解決したい方は、onemindのような社内ポータルサイトの導入をぜひ検討してみてください。